藍染め

『青は藍より 出でて 藍より青し』


この言葉は中国、戦国末の儒学者

荀子(紀元前313年頃〜 紀元前238年)
『歓学』によって唱えられた

 

「君子曰。學不可以巴 

青取之干藍 而青干藍。…..

 

を元に作られた故事成語で

本来は、学問は中断してはならず

藍から出た青のように

磨きをかける事によってより成熟する

との意味合いだったものが

 

藍と青の関係が語り継がれていく

うちに意味が変容し

弟子が師匠を超える例えとして

使われるようになりました。

 

藍は古の時代から用いられた

人類の最古の染料とも考えられており

今もなお世界各国で使われ

この国においても時代と共に

その関わり方を少しずつ変えながら

人々の暮らしの中に寄り添ってきました。

 

        

 

日本の国旗は赤と白が象徴であるのに対し

侍ブルーと呼ばれるユニフォームや

オリンピックのエンブレムなどに藍色を

連想させる色が使われる背景には

藍との深い歴史と関わりから

きているとも考えられています。

 

はたして日本と藍は歴史の過程で

どのような文化を形成し

その遍歴を辿ってきたのでしょうか。

  •  
  • ・藍の起源と蓼藍の渡来
  •  
  • ・緑色だった藍 祭祀と山藍の関係性
  •  
  • ・神話の藍と万葉集
  •  
  • ・正倉院に残る藍と冠位一二階
  •  
  • ・経典や紙本に使われた藍
  •  
  • ・武士の勝色と畳の縁
  •  
  • ・木綿と出会った江戸の藍
・エコで庶民の藍のリサイクルシステム
 
  •  
  • ・ジャパンブルーの誕生
  •  
  • ・藍の種類と世界の藍
  •  
  • ・合成インディゴの発明と藍の衰退
  •  
  •  
  •  
  • ・藍染の現在とこれから
  •  
 

藍の起源と蓼藍の渡来

 日本列島に藍がいつやって来たのかは

現代においても厳密には
良く分かっておりません。

この国で永らく藍染の原料として用いられきた藍草は蓼藍(たであい)
と呼ばれる(たで科タデ属)であり

 

秋に白や赤の花を咲かせる一年草で

中国南部及びインドシナ南部が原産
とされています。

 

藍染めの原料となる蓼藍の葉

 

 この藍草が日本に渡来したのは

飛鳥時代の五〜六世紀にかけて

大陸を通じて持ち込まれたのが

現代の通説となっておりますが

 

もう少し時代が下り遣隋使及び遣唐使によってにもたらされた

 

更には藍の道は稲の道と例えられ
弥生時代に長江下流域から水田稲作と共に渡ってきたと遡る事も

考えられるようです。

 

世界の藍を記録をみると

古代の他文明には

紀元前2000〜3000年頃に

藍染めの断布や遺構が発見されている

事から日本の藍染めは

文明の視点から考えると比較的

歴史が浅いともいえる

のかもしれません。

緑だった藍 山藍と祭祀

 

 現在、藍と呼ばれる色を連想

すると深い紺色が思い浮かべる事が
多いかも知れません。


しかしこの国において藍を指す色は
その時代によっても変化してきたと
考えられています。


前述における蓼藍が渡来してくる以前の
古代には山藍と呼ばれる植物を捺染(擦り付けて)した染色が行われていた

 

用いれていたと考えられています。

 

現在でも大嘗祭・新嘗祭などの神事の際ににする小忌衣(おみごろも)には


古来から石清水八幡宮の境内にある
自生する山藍を用いる事がしきたりとなっております。


この山藍を

かつては藍染とはこの山藍を使って

しかしこの山藍は後年の研究により青を色素とするインディゴを含んでいない事が判明し、古代に記された藍の記述の多くもこの山藍の生葉染めを施された

緑色と解釈されるようになります。

古代に藍染以外に青色に染められる染料は臭木の実と青草(露草)だったと考えられております。臭木の実は紫外線に弱く、露草はその名の如く水に浸すとその色は流れてしまいます。

その為にこの山藍を擦られて

この山藍と蓼藍の

 

藍の起源と蓼藍の渡来

万葉集と神話の藍

 
 

 

また紅花を染料として染めた鮮やかな赤色を紅(くれない)と呼びますが、

これは元々は(くれのあゐ)と書き呉(くれ)の藍(あゐ)

呉(中国)から来た(藍)という意味で名付けられたもの考えられており、ここで呼ばれる(あい)とは元々染料を指す言葉だったのです。

 

卑弥呼の時代の藍

 

魏への

そあおて三世紀末の古墳には

正倉院に残る藍と冠位十二階

 

日本国内で現存する最古の藍染は他の例にも漏れず正倉院の中にあります。

 

また公家の身分を表す色を示した冠位十二階には上から

 

高貴なものに三番目の色が藍でした

この事から藍は古来から高貴な色と思われていたのかもしれません。

 

平安時代の藍

 

平安時代になると

仏教の経典や

和紙に藍染が用いられています。

 

 

 

平安時代後期11世紀

藍紙本万葉集

漉染
全巻 藍紙
法華経 華厳経

武士の勝色と畳の縁

 

中世になると武士の防具の^に藍で染められた麻布が使われるようになりました。

藍は勝ち色として武士の間達でも好まれようです。

また藍には抗炎作用もあるといわれているので武具に使われたのも実用性も兼ねての事だったのではないでしょうか。

また千利休は虫を寄せ付けないと茶室の畳の縁を藍で染める事をこの見ました。

その名残は今でも茶室の畳の縁に影響しています。

 

それでもこの時代の庶民にはまだ藍染の衣類

庶民が藍に触れるまでは木綿の普及、藍がいつでも染めれるようになる技術が

江戸時代の後期まで待たなくてはいけませんでした。

江戸時代 天然発酵建てと木綿の普及

徳島のイメージが強いですが

には藍染のランク付けがされており

更に国内で木綿の生産が盛んになり

それまで庶民が主に着ていたとされる

麻・楮・

による

更に当時の幕府の倹約主義により

庶民達の着る服には青・鼠・茶

の三種類しか許されないという事態になります。

そういった技術の進歩とも木綿の普及によって規制

こうして今の浮世絵に見られる藍による着物が

江戸の街並みが

ただしそういった

東北の寒く木綿が栽培できない地域では

藍の

この加温をして早くも室町時代から始められていたと考えられます。

また宮城にある夏の暑い時期だけを利用

怜藍染

以前は麻を栽培して近隣には多くの

その手法が定着されるのは江戸時代からと考えられています。

春から秋まで育てた藍の葉を刈り、乾燥させて葉に水分を与え

蒸して蒅と呼ばれる物を作り

その蒅に木灰や石灰を加え

それは発酵させて微生物の力を借りて

 

日本の四季と高温多湿から

日本独自の

この手法が確立されたことにより藍甕の管理をすることにより

年中染められるようになり

そして江戸幕府の衣服の規制木綿の栽培と重なることにより染めた

藍は民衆の色と変化していくのでした。

または

また現代から考えてると大変この手法は大変手間暇がかかる

また江戸時代も後期になると

プルシアン・ブルー安価なベロ藍ペルシアン顔料が輸入されるように

浮世絵の中でも濃い青ができるようになりました。

葛飾北斎や歌川広重らが取り入れた

俗にヒロシゲブルーと呼ばれるこの空や海にかけての

絶妙なグラデーションには濃い発色ができるベロ藍と蓼藍を上手に混ぜ合わせて

表現されtいると感がられています。

北斎は、文政12(1829)年から浮世絵風景画の「冨嶽三十六景」シリーズを刊行。シリーズ作品のすべての空や、水の部分に藍とベロ藍を配合して使用していたばかりか

江戸時代 木綿の普及と庶民の藍

青の国になった日本 ジャパンブルーの誕生

明治になると鎖国が解かれ

おそらく海外から渡ってきた西洋の人にとって

島国の空と海

ここで西洋からみた言葉を紹介してみましょう。

島国に

連なる軒下に 暖簾

棟は低く広がる空に海

そして大胆な柄の藍の着物

古伊万里の染付

江戸時代に
当時に残された浮世絵のように

日本はとても青が美しい国と写ったのではなでしょうか。

この出来事からジャパンブルーの由来になり

日本に藍のベロアトキンソンが『藍の説』という文章に「日本に来て全国至るところで藍色の衣装をみる」と書いていると述べている。アトキンソンは、藍色を「ジャパンブルー」と記したという。

 

藍染めの種類と世界の藍

藍染と一言に呼ばれているものの中でも世界を見渡しても

植物含まれる(インディゴ)を含んだ色素を抽出して

ヨーロッパでもかつてウォードによる藍染めが行なわれ全盛期には フランスやドイツで

藍の交易で大いに栄えたとされてますが

現在は ほとんど途絶えてしまいその面影は残っていません。

また日本国内でもここで主に取り上げられている蓼藍以外にも

沖縄に琉球藍に泥藍。

またアイヌ民族がエゾタイセイと呼ばれる

北海道に自生にするウオードの一種で藍染を行っていたとん

近年では気候や技術的な問題と物証が残っていないことから

アイヌ民族では藍染は行われていなかったのではないかと考えられています。

 

藍染めの現在とこれから

化学藍の誕生により

現在流通している藍染めのほとんどが

何かしら化学薬品を頼ったものであるといわれており

現代の生活の中で私達は

天然の藍染で染められたものを

目にする機会はほとんどないのが現実かもしれません。

 

その一方でその染めの美しさや染料やその過程において環境問題の視点からも

日本の伝統的な天然も

海外再注目されています。

また近年は科学的視点からも

藍染めの堅牢性や防虫性、抗菌性などの高さが

見直されています。

 

現代でもあらゆる所で
現在流通している藍染のほとんどは
何かしらの化学薬品の力を借りていて
もしかしたら本当の藍染の美しさに
触れる機会というのはほとんどないのかもしれません。

時代と共に様々形で藍染めが生活

この先の未来はどうゆう風に
藍と付き合っていくのでしょうか。

 

 

 

参考文献:本

 

  • ・古事記
  • ・万葉集
  • ・阿波藍のはなし藍を通して見る日本史
                  森くみ子
  • ・宮本常一とあるいた昭和の日本21 織物と染
  • ・世界のインディゴ染 カトリーヌ・ルグラン
  • ・木綿以前の事 柳田國男
  • ・日本の面影 ラフカディオカーン
  • ・日本の藍 伝統と創造   日本藍染文化協会編
    ・地域資源を活かす 生活工芸双書 藍  
         農山漁村文化協会

参考論文

藍染めの歴史

原始

神代 旧石器 縄文 弥生 時代

古代

古墳 飛鳥 奈良 平安 時代

中世

鎌倉 南北朝 室町 戦国 時代

近世

安土桃山 江戸 時代

近代

明治 大正 昭和 平成 時代

これから

令和 時代

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